執筆者:総合内科専門医 荒井 隆志
健康的な食生活を送るうえで、塩分の管理はとても重要です。
今回減塩の目標や注意すべき食品について紹介します。
減塩の目標
厚労省が推奨する日本人の減塩目標が厳しくなってきているのはご存知でしょうか?
20年前は1日10g未満が目標でしたが、2020年からは男性が1日7.5g未満、女性が6.5g未満が目標となっています。
WHO(世界保健機関)の推奨は1日5g未満なのでまだ差がありますが、だいぶ世界標準に近づいてきました(アメリカは1日6g未満です)。
ちなみラーメン一杯で約4~5g(スープを飲む量にもよりますが)、味噌汁一杯で約2gの塩分がありなかなか厳しい目標です。
減塩に取り組むべき人
減塩は高血圧の人だけの問題ではなく、血圧が高くないすべての人に心臓や血管の病気の予防のため重要です(自分も高血圧ではありませんが注意しています)。
塩分に注意して血圧125/75以下を維持することが健康を保つうえで大切です。
塩分の種類
同じ塩分摂取量でも、塩分を体外に出しやすくするカリウムの摂取量や精製塩もしくは天然塩かによっても健康への影響は違ってきます。
カリウムやマグネシウムを含む天然塩のほうが望ましいと考えられます。
また最近塩化カリウムを混ぜた代替塩が脳卒中や心臓病の予防に役立つことが報告されています(日本ではやさしおという商品が販売されています)。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2105675
注意すべき食品
めん類
ラーメンやうどん、そばは塩分が多く、食べる頻度を減らすようにすべきです。
つゆをできるだけ残しすようにしても、めんにつゆが絡みますし、めんそのものにもけっこうな塩分が含まれています。
トッピングの煮卵やチャーシューも塩分が多く要注意です。
また天ぷらや油揚げそのものは塩分は少ないのですが、つゆをたくさん吸ってしまうため塩分摂取が増える原因となってしまいます。
加工肉
ハムやソーセージなどの加工肉も塩分が多く要注意です。
ハムは4枚で約3g、ウインナーは5本で約2gもの塩分が含まれています。下茹でをして塩分を抜くのも工夫のひとつです。
加工肉は大腸がんのリスクもあり極力減らすように勧められます。
魚
魚は健康によい食材としておすすめしていますが、塩分を摂りすぎないように注意が必要です。
鮭はEPAやDHA、アスタキサンチンが豊富ですが、中辛や辛口は塩分が多いため甘口にしましょう(甘口は塩分が少ないだけで、砂糖は使われていません)。
塩焼きや煮付けを減らし、アクアパッツァやアヒージョなど地中海式の魚料理を増やすのもよいと思います。
ドレッシング
サラダというと健康的なイメージですが、サラダのドレッシングは意外に注意が必要です。
特にしょうゆベースのドレッシングは一回量で約1gの塩分になってしまうことがあります。ノンオイルドレッシングは塩分が多い傾向があり、決して健康的というわけではありません。
自分は市販のドレッシングは使用せず、オリーブオイルやバルサミコ酢を使ってサラダを食べています。
減塩について簡単に解説させていただきました。さらに詳しく知りたい方は遠慮なくご相談ください。