めまい

 めまいで内科を受診される方は多くおられます。めまいの原因はさまざまで、適切な診断や対応には総合内科の視点が重要です。

目次

  めまいの原因

 めまいの原因になる病気はさまざまです。対応する診療科も多岐にわたり、耳鼻科だけでなく脳神経科や循環器科などの病気があります。
 めまいの原因を大きく分けると、①脳に異常がある中枢性、②平衡感覚に異常が生じる末梢性、③脳の循環不全、④その他に分類できます。

 中枢性

 注意が必要なのが、脳卒中や脳腫瘍が原因で起こる中枢性のめまいです。頻度は少ないですが早期に対処しないと、いのちにかかわったり大きな後遺症が残る危険性もあります。
 普段感じたことのない強いめまいや他の神経症状(手足のまひ、しゃべりにくい、物が二重にみえるなど)がみられる場合は、早めに脳のCTやMRI検査をする必要があります。

 末梢性

 末梢性めまいは平衡感覚の異常で起こるめまいで、ぐるぐると回転するようなめまいが特徴です。症状が強いこともありますが、怖い病気ではなく、後遺症を残さずに回復します。
 末梢性めまいで最も多いのが良性発作性頭位めまいです。起床時に回転性のめまいが生じて、頭を動かしたときに誘発されるのが特徴です。
 メニエール病は耳鳴りや難聴を伴う回転性のめまいが特徴です。女性に多く、疲れやストレスがきっかけになりやすいです。
 前庭神経炎はウイルスが原因として推測される病気で、1週間ほど回転性のめまいが続きます。

 脳の循環不全

 脳の循環不全で最も多いのが起立性低血圧です。思春期や高齢者にみられやすいですが、脱水や出血などの異常が原因になることもあります。
 糖尿病や神経の病気で起立性低血圧を起こしやすくなることもあります。
 不整脈や心不全、弁膜症などの循環器疾患が原因で、脳の血流が悪くなりめまいが生じることもあります。

 その他

 めまいにはこころの状況も強く影響します。めまいが不安で余計にめまいを感じてしまう状況は心因性めまいと呼ばれています。
 月経前症候群(PMS)や更年期障害でもめまいが生じやすくなります。さらに片頭痛もめまいとの関連があります(前庭性片頭痛)。
 加齢による平衡感覚の低下でもめまいが悪化しやすくなります。

  めまいの受診方法

 動けないほどの強いめまいであれば、救急車を呼んで搬送してもらうのが最善です。特にしゃべりにくさや手足のまひなどの症状を伴う場合にも一刻も早い対処が必要です。結果的に心配のない末梢性めまいだったとしても恥ずかしいことはまったくありません。
 軽度のめまいで少し休んで改善するようなら、近くの内科や耳鼻科の受診で問題ないと考えられます。

  めまいの治療法

 めまいの治療法は原因によって異なります。
 多くのめまいは安静にしたり、抗めまい薬の服用で時間の経過とともに改善します。めまいが強い場合は点滴したり、入院が必要になることもあります。
 頻度は低いですが、脳卒中であれば脳の治療、循環器疾患であれば心臓の治療が必要となります。
 メニエール病は内服治療で効果が不十分な場合は内耳の手術を行うこともあります。
 立ちくらみのような浮動感や耳鳴りを伴うめまいには漢方の苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)の効果が期待できます。

  めまいのセルフケア

 めまいに対する薬は決定的な特効薬はないのが実情で、その代わりセルフケアが重要です。原因にかかわらずめまいは以下の6つの要因で悪化しやすいため注意しましょう。

  • 睡眠不足
  • 風邪などの体調不良
  • 気圧や季節の変化
  • 疲労
  • 精神的ストレス
  • 女性ホルモンの変動(更年期、月経前症候群)

  めまいに対する不安がさらにめまいを悪化させることも多いため、不安にうまく対処していくことも大切です。
  また体操を行って前庭神経や小脳を訓練することも効果が期待できます。

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