こむら返りは医学的には「有痛性筋けいれん」と呼ばれる症状です(痛みを伴う筋肉のけいれんという意味です)。誰もが経験する症状ですが、ときに病気が原因となることもあり要注意です。
こむら返りとは
こむら返りはふくらはぎの筋肉がけいれんを起こすことによる症状で、俗に言う「筋肉がつった」状態です。
ふくらはぎが最も多いですが、有痛性筋けいれんは手足の指やお尻、大胸筋、首、腕にも起こすことがあります。
起こりやすいのは運動時と夜間の就寝中です。
夜間のこむら返りは加齢とともに増え、高齢者を対象とした調査では5割以上が夜間のこむら返りを経験していると報告されています。
こむら返りの原因
こむら返りの原因として多いのが、運動による疲労と加齢による筋量の低下です。脱水や下肢の冷え、妊娠によってもこむら返りが起こりやすくなります。
病気が原因となることもあり、内科の病気では糖尿病や肝臓病、腎臓病、電解質異常、甲状腺機能低下症がこむら返りの原因となることがあります。
腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアといった整形外科の病気もこむら返りと関連があります。
こむら返りが起こった時の対処法
こむら返りが起こった時にまず有効なのが、ふくらはぎのストレッチと芍薬甘草湯です。
ふくらはぎをゆっくりとやさしくストレッチします。軽くマッサージするのも効果があります。
芍薬甘草湯は医療機関でも最もよく処方する薬です。
痛み止めの外用薬も有効で、こむら返りを起こした部位に塗り込むのがおすすめです。
こむら返りの予防
こむら返りの予防で最も大事なのが、運動前や就寝前のふくらはぎのストレッチです。
運動前や就寝前にあらかじめ芍薬甘草湯を服用するのも有効です。ただ連日服用すると高血圧や低カリウム血症、むくみといった副作用が生じることがあるため注意しましょう(漢方だからといって副作用がないわけではありません)。
血流を改善する薬や筋弛緩薬も効果が期待できます。不安や不眠もみられる場合はジアゼパムという抗不安薬が有効です。
適度な運動で筋力を保つのも大切です。脱水にならないように水分補給をしっかりしながら運動しましょう。
マグネシウムやカルシウムの不足もこむら返りの原因となります。特にマグネシウムは現代人に不足しがちなので、海藻や豆類、魚をしっかり食べましょう。
こむら返りは生活の支障となる症状ですが、うまく対処すれば改善することができます。また原因として病気が隠れている場合も考えられます。こむら返りでお困りの方は遠慮なくご相談ください。