肺炎

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肺炎とは

 肺炎は肺の組織に細菌やウイルスなどの病原体が感染して炎症を起こす病気です。
 肺炎の患者数は高齢化に伴って増えており、2019年には約13万人の方が肺炎(誤嚥性肺炎を含む)で死亡しています。
 がん、心疾患に次ぐ死亡原因の第3位で、90歳以上の高齢者では死因の第1位となっています。
 高齢者で要注意の肺炎ですが、高齢者だけでなく若い人も肺炎にかかることがあります。

肺炎の原因

 肺炎の原因として最も多いのが、細菌やウイルスの感染による肺炎です。
 一時はコロナウイルスによる肺炎がクローズアップされましたが、肺炎球菌やクラミジア、マイコプラズマといった細菌による肺炎が主流です。
 ウイルスではコロナウイルス以外にRSウイルスやヒトメタニューモウイルス、インフルエンザウイルスなどが肺炎の原因となります。
 体力の落ちた高齢者では、唾液や食べ物が気管に入ってしまうことで起こる「誤嚥性肺炎」が多くみられます。
 感染による肺炎以外にも「間質性肺炎」という原因不明の特殊な肺炎もあります。
 またアレルギーや薬の副作用による肺炎も頻度は少ないですが起こることがあります。

肺炎の症状

  • 発熱、咳、痰
  • 息切れ
  • 胸痛
  • 倦怠感(元気がない)

 肺炎の症状として最も多いのが、発熱と咳、痰で、悪化すると息切れが出てきます。
 症状だけでは風邪と区別がつきにくく、検査をしないと分からないこともあります。
 肺炎そのものでは胸痛はみられませんが、肺の表面にある胸膜まで炎症が及ぶと痛みが生じます。
 また咳が続くことによっても胸痛が起こり、肋骨に骨折がみられるケースもあります。
 高齢者の場合は熱や咳がなく、「何となく元気がないだけ」ということもあるため要注意です。

肺炎の診断

 肺炎の診断には、まずは胸部レントゲン検査が有用です。
 小さな肺炎はCTでなければ分からないケースもありますが、胸部レントゲン検査でほとんどの肺炎は診断することができます。
 血液検査で白血球やCRPといった炎症の数値を確認することも参考になります。
 感染の原因を調べるために、痰の細菌培養検査やウイルスの抗原、PCR検査なども行われます。

肺炎の治療

 風邪には抗生剤は効果がありませんが、細菌による肺炎は抗生剤で改善することができます。
 ただ細菌の種類によって有効な抗生剤は違うため、原因になっている細菌を推定しながら抗生剤を選ぶ必要があります。
 軽症の肺炎は内服で外来治療が可能ですが、症状の程度が強い肺炎は入院して点滴の抗生剤で治療を行います。
 食欲低下がある場合は点滴を行ったり、酸素飽和度の低下がある場合は酸素吸入が必要になります。

肺炎の予防

 肺炎の予防は風邪の予防と重なる部分が多いです。
 免疫力の低下が原因となるため、疲労や睡眠不足を避け、バランスよく栄養を摂ることが重要です。
 肺炎の原因として多くみられる肺炎球菌にはワクチンがあり、65歳以上の高齢者は公費助成で接種が可能です。
 またインフルエンザが肺炎のきっかけになることも多いので、インフルエンザワクチンの接種も大切です。
 特に高齢で基礎疾患がある方は、肺炎球菌とインフルエンザのワクチンを両方接種することが勧められます。

肺炎は高齢者に多い病気ですが、若い人にも起こります。肺炎が気になる方は遠慮なくご相談ください。

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