上腹部痛(みぞおちの痛み)

 胃の辺り(みぞおち)の痛みは、医学的には「心窩部痛」もしくは「上腹部痛」と表現します。胃に由来する痛みのこともありますが、別の臓器に原因があることも多いです。
 胃の病気と胃以外の病気に分けて解説します。

目次

  胃の病気

機能性ディスペプシア

胃の痛みの原因として最もよくみられるのが、機能性ディスペプシアです。機能性ディスペプシアは胃のなかに目に見える異常がないにもかかわらず、胃の不調が生じる病気です。遺伝的な体質やストレス、生活習慣が原因となって症状が生じます。

胃十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の潰瘍は以前と比べると減ってはきましたが、まだよくみられる病気のひとつです。ピロリ菌だけでなく、鎮痛剤やストレスも潰瘍の原因となります。

胃がん

胃がんも以前と比較すると減ってはきましたが、依然としてがんの罹患数の第3位です。症状が出る前に内視鏡で発見するのが最善ですが、症状が出てからでも早めに検査することが重要です。

  胃以外の病気

急性虫垂炎

虫垂炎(いわゆる盲腸)は最初は胃の辺りの痛みから始まることが多いです(その後右下腹部に痛みが移動します)。受診時には右の下腹部痛の自覚がないことも多いので、診察時に見落とさないように気をつけています(右の下腹部をおさえて痛みがあるようならCTや超音波で虫垂を詳しく調べます)。

胆石症

よくある病気では、胆石も胃の辺りが痛くなります。食後に痛みが出やすく、胆のうが位置する右側ではなくみぞおちが痛くなることも多いです。

心筋梗塞

まれではありますが、緊急を要する病気で注意が必要なのが心筋梗塞です。下壁という場所の心筋梗塞では胃の辺りの痛みとして感じることがあります。急な痛みで程度が強く冷や汗を伴っているようであれば、救急車を呼んで総合病院に行くのが正解です。

すい臓がん

さらに見落としたくないのがすい臓がんです。すい臓は胃の裏側にあるため胃の症状のように感じることがあります。市販の胃薬で様子をみていたが、症状が続くため検査したら進行したすい臓がんだったということもあります。

胃の痛みと思いきや別の臓器に重大な病気が隠れていることもあります。あらい内科クリニックでは腹部エコーや胃カメラ、心電図などを用いて腹痛の原因を調べることができます。みぞおちの痛みが気になる方はぜひご相談ください。

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