すい臓がんはすべてのがんのなかで最も死亡率が高いがんです。すい臓はお腹の奥に位置するため早期発見が難しく、医療が進歩した現在でも5年生存率は8.5%と不良で生存される方はごくわずかです。
すい臓がんとは
すい臓は胃の裏側にある臓器で、消化酵素やインスリンを分泌しています。
このすい臓にできるすい臓がんは最近増加しており、患者数はがんの8位に上昇しています。
さらに死亡率は最も高く、5年生存率は8.5%と現在でも極めて低いです(乳がん92%、大腸がん71%と比べると著しく不良なのが分かります)。
そのため死亡数はがんの4位まで上昇し、女性では大腸や肺に次ぐ3位と大きな問題となっています(乳がんや子宮がんで亡くなられる方より多いのです)。
すい臓がんの原因
すい臓がんの原因は分かっていないことも多いですが、複数の危険因子(リスクファクター)が分かっています。
ひとつは遺伝的な影響です。血のつながった家族にすい臓がんの患者がいるとすい臓がんにかかるリスクが高くなります。
糖尿病やメタボリック症候群、飲酒、喫煙、慢性膵炎もすい臓がんを増やすことが分かっています。
こうした危険因子がある方は改善に努めつつ、定期検査を受けることが重要です。
すい臓がんの症状
- 腹痛、腰背部痛
- 黄疸
- 糖尿病の悪化
- 食欲不振、体重減少
すい臓がんの症状としては腹痛が最も多いです。みぞおちの辺りが痛くなるため胃の痛みと勘違いすることもあります。
皮膚が黄色くなる黄疸(おうだん)や糖尿病の悪化、食欲不振、体重減少もよくみられます。
腰や背中の痛みで整形外科を受診される方もおられます。
症状が出ている時点でかなり進行している状況ではありますが、それでも早く検査を受けて診断することが重要です。
ただ無症状の段階で早期にみつけることが最も大切です。
すい臓がんの診断
早期診断が重要とはいっても、すい臓はお腹の奥にある臓器で、がんを早期発見するのはかなり難しいのが現状です。
現在最も有効と考えられているのが、まず腹部エコー検査でスクリーニングを行って、所見がみられる人を対象に詳しい検査を行うアプローチです。
腹部エコー検査で直接がんをみつけるのは難しいのですが、膵のう胞やすい管拡張といった間接的な所見をとらえることができます。
間接的な所見がみられたら造影CT検査やMRI検査を行います。さらに超音波内視鏡検査というエコーができる内視鏡を使うことで早期診断につなげることができます。
すい臓がんの治療
最も根治が期待できる治療は手術です。1cm以下で発見できた膵がんは手術することで約80%もの5年生存が見込めます。
しかしがんが大きくなるほど生存率は低下し、周囲の血管や臓器にがんが及ぶと手術ができなくなります。
抗がん剤や放射線治療の効果は乏しく、手術できないⅣ期のすい臓がんは長期の生存は望めないというのが現状です。
すい臓がんは最も死亡率が高いがんです。肥満や喫煙、飲酒に気をつけながら、年に1回腹部エコー検査をチェックするのが、現状では膵がんでの死亡を減らす最善の方法だと考えられます。