浮腫(むくみ)

 浮腫は俗に言う「むくみ」のことで、皮下組織に余分な水分が貯留した状態です。重力の関係で、足やふくらはぎにまず浮腫が出てくることが多いです(寝たきりの人は背中に浮腫がみられやすいです)。
 浮腫の原因は多岐にわたり、重大な病気が原因になっていることもあります。

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  浮腫の原因となる病気

心不全

 浮腫を引き起こす代表的な病気です。高齢化とともに心不全の患者数は大きく増加しています。心不全の主な症状が浮腫と息切れで、早めに対処することが重要です。

肝硬変

 肝硬変は腹水だけでなく浮腫の原因にもなります。以前と比べてウイルス性肝炎による肝硬変は減りましたが、脂肪肝やアルコールによる肝硬変が相対的に増えています。

慢性腎臓病、ネフローゼ症候群

 腎臓病でも浮腫が出やすくなります。特に蛋白尿が多いネフローゼ症候群では顕著な浮腫がみられます。

下肢静脈血栓症、下肢静脈不全

 静脈の血栓では通常片側の下肢の浮腫がみられます(最初に整形外科を受診される方も多いです)。血栓が肺に流れて「肺塞栓(はいそくせん)」を起こすこともあるので注意が必要です。

薬剤性

 薬が原因の浮腫もあります。高血圧で処方されるカルシウム拮抗薬を多い量で飲むと浮腫が出る方がいます。痛み止めや一部の漢方薬でもむくみやすくなることがあります。

甲状腺機能異常

 甲状腺機能低下症で浮腫がみられやすいですが、バセドウ病による甲状腺機能亢進症も浮腫を起こすことがあります。

血管性浮腫

 血管性浮腫では血管から水分が漏れやすくなり浮腫を起こします。若い女性にみられる好酸球性血管性浮腫はステロイドがよく効きます。急に顔面が腫れるクインケ浮腫という血管性浮腫もあります。

 特発性浮腫

 病気がないのに浮腫がみられるのが特発性浮腫です(特発性は原因不明という意味です)。月経のある若い女性に多く、夕方に増悪するのが特徴です。月経前や立位でも悪化しやすいです。
 塩分制限に留意し、利尿剤は使わない方がよいとされています。
 体質に応じて漢方薬を使うのも選択肢となります。
 一般的によく使われるのが「五苓散」で、太りぎみな人は「防己黄耆湯 」、冷え性や更年期障害がある人は「当帰芍薬散」がおすすめです。

浮腫の原因はさまざまで、心配ない浮腫もありますが、重大な病気が原因となっていることもあります。むくみが気になる方はお気軽にご相談ください。

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