帯状疱疹(ヘルペス)

 帯状疱疹(たいじょうほうしん)はとても多い病気で、高齢者だけでなく若い人にもよくみられます。特に最近は子どもの水ぼうそうが減った影響で、大人の帯状疱疹が激増する可能性が指摘されています。

目次

  帯状疱疹とは

 帯状疱疹は上の写真のように帯状に発疹が出現する病気です。
 小児期の水痘(水ぼうそう)で感染したヘルペスウイルスはその後神経に潜伏しますが、免疫力が落ちたのをきっかけに再度発疹を起こすのが帯状疱疹です。
 50歳以上や基礎疾患のある人でリスクが高くなりますが、若くて基礎疾患がない人にもみられます。
 最近は子どもの水ぼうそうのワクチンが定期接種になり、水ぼうそうが減ったことで大人の免疫が刺激される機会が減少しています。そのため今後帯状疱疹を発症する大人が激増する可能性が懸念されます。

  帯状疱疹の症状

  • 痛み
  • 帯状の発疹
  • 顔面神経麻痺、視力障害

 帯状疱疹は胸やお腹に生じることが多いですが、顔やお尻などさまざまな場所に出現することがあります。
 最初はピリピリとした痛みが出て、その後発疹が帯状に出てくる経過が典型的です。
 最も問題になるのが神経痛で、治療が遅れると後遺症として神経痛が持続する危険性があります。
 時に顔面神経麻痺などの神経の麻痺を起こしたり、眼の合併症で視力障害を起こすこともあり要注意です。

  帯状疱疹の診断

 ほとんどの帯状疱疹は、発疹の見た目で診断することが可能です。皮膚科だけでなく内科でも判断は可能です。
 ただ発疹の出ていない痛みだけの段階では診断することはできません。
 発疹の部分を綿棒でぬぐってウイルスの抗原を調べる検査もありますが、ほとんどは検査する必要はありません。

  帯状疱疹の治療

 帯状疱疹と診断したら神経痛が残らないように早めにウイルスを抑える治療薬を開始します。
 発疹が出てから72時間以内に治療を開始することが望ましく、早いほど神経痛が残るリスクを下げることができます。
 ほとんどのケースは内服薬で外来治療を行います。塗り薬はワセリンなどが使われますが補助的な役割で、内服薬が治療のメインです。
 発疹が顔面に出ていたり、高齢で基礎疾患がある場合は入院での抗ウイルス薬の点滴治療を考慮します。

  帯状疱疹の予防

 免疫力が落ちると発症しやすいため、免疫力を維持するように日常生活で注意します。風邪の予防と共通しますが、適度な睡眠や栄養摂取、運動が重要です。冷水シャワーが免疫力を高めるという報告もあります。
 最も効果が期待できるのがワクチンによる予防です。2016年から50歳以上を対象に帯状疱疹の予防を目的としたワクチンの接種ができるようになっています。
 最近では効果の高い新しいワクチンが使えるようになっています(97%の発症予防効果が報告されています)。

帯状疱疹はよくある病気です。神経痛で悩まないためには、発疹が出たらできるだけ早く薬を始めるのが重要です。また新しいワクチンはとても効果が高いため、帯状疱疹が心配な方は遠慮なくご相談ください。

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