甲状腺は喉の気管の前にある臓器で、甲状腺ホルモンを作っています。甲状腺の病気は女性に多く、バセドウ病と橋本病がそのほとんどを占めます。
バセドウ病とは
バセドウ病は自分の免疫が甲状腺を刺激することによって、甲状腺ホルモンが過剰になる病気です。
甲状腺ホルモンが過剰になる原因として最も多い病気です(他にも無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎、中毒性結節性甲状腺腫という病気で過剰になることがあります)。
若い女性に多く、日本国内だけで数万人の患者がいると推定されています。
バセドウ病の原因
バセドウ病は免疫の異常が原因で起こる病気です。
血のつながった家族にバセドウ病の人がいるとリスクが上がるため、遺伝的な要素もあると考えられています。
ストレスや喫煙、過労、出産なども発症のきっかけとなることがあります。
バセドウ病の症状
バセドウ病の症状はさまざまで、以下のような症状がみられます。
甲状腺の腫れ、頻脈、眼球突出、動悸、多汗、体重減少、疲労感、下痢、手の震え、微熱、息切れ
ホルモンの過剰が重度になると、心房細動という不整脈や心不全を起こすことがあります。
バセドウ病の治療が不十分な状況で、感染などのストレスが加わると甲状腺クリーゼという危険な状態になることがあり要注意です。
バセドウ病の検査
バセドウ病の可能性が疑われる方には、まずは血液検査で甲状腺ホルモンが過剰かどうかを調べます。
甲状腺ホルモンが過剰になっている場合は、甲状腺に対する抗体(TRAb、TSAb)の有無を検査して陽性ならバセドウ病と考えられます。
陰性であれば無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺、中毒性結節性甲状腺腫というバセドウ病以外の病気が疑われます。
甲状腺のエコー検査も診断の参考になります(甲状腺の腫れや血流の増加がみられます)。
バセドウ病の治療
バセドウ病の治療では、チアマゾールという薬が最も多く使われています。
妊娠前や妊娠中は赤ちゃんに奇形が生じる可能性もあるため、プロピルチオウラシルを用います。
内服を開始してから2か月は白血球減少や肝障害といった副作用の有無をチェックするため血液検査を2週間ごとに行います。
内服治療により甲状腺ホルモンが正常範囲に落ち着いたら薬の量を減らしていきます。
甲状腺ホルモンが落ち着き2~3年が経過したら内服の中止を検討します。中止後に再発する方もおられます。
副作用で内服治療の継続が難しい場合や内服で治療効果が不十分な場合は、放射性ヨードや手術を検討します。
バセドウ病は放置していると、心不全や甲状腺クリーゼという怖い病気に陥る危険性があります。甲状腺機能は健診の項目には含まれないため、気になる方はお気軽にご相談ください。