大腸がんは予防が可能なのにもかかわらず、年間約5万人が亡くなりがんによる死亡の第2位です(女性では死亡数の第1位となっています)。
大腸がんによる死亡を減らすためには、便潜血検査と内視鏡検査の2つが重要です。
増加する大腸がん
大腸がんは最近増加の一途をたどっており、日本では年間約16万人が罹患(りかん)し、最も多いがんとなっています。
食生活の欧米化により大腸がんが増えていると考えられていますが、現在ではアメリカより日本の方が罹患率や死亡数が高くなっています。
治療が進歩し5年生存率は70%台に改善はしていますが、依然として年間約5万人が亡くなりがんの死亡数の第2位です。
女性では死亡数の第1位で、乳がんや子宮がんで亡くなられる方よりも多いのです。
大腸がんの原因
大腸がんは年齢とともにリスクが上昇し、40歳以降で増えてきます。
大腸がんは生活習慣と深く関連があり、喫煙や飲酒、肥満によりリスクが上昇します。
ハムやソーセージなどの加工肉や豚や牛などの赤身肉も大腸がんのリスクとなるため過剰に摂取しないように注意が必要です。
野菜や果物の摂取不足や運動不足も大腸がんを増やすことが明らかになっています。
また大腸がんには遺伝の要素もあり、家族に大腸がんにかかった人がいるとリスクが高くなります。
大腸がんの症状
- 初期は無症状
- 血便、黒い便
- 便秘、お腹の張り
- 下痢、細い便
- 貧血
大腸がんは早期にはほとんど症状がでませんが、ある程度進行すると血便や便秘、お腹の張りがみられるようになります。
便秘だけでなく、逆に下痢になったり細い便がみられることも多いです。
黒い便(黒色便)がみられたり、貧血を起こしたりすることもあります。
こうした症状がみられるようなら、早めに内視鏡検査を行うことが重要です。
しかし症状が出た段階ではある程度進行しているため、症状が出る前にみつけることが望ましいです。
大腸がんの検査
大腸がんの検査として、便潜血検査と内視鏡検査の2つが重要です。
検診で用いられているのが便潜血検査で、便に含まれる血液成分の有無を調べる検査です。
2回検査して1回でも陽性なら内視鏡検査で詳しく調べます。
しかし便潜血検査では大腸がんがあっても約2割で陰性になることがあります(偽陰性と呼ばれています)。
そのため大腸がんやポリープの有無を十分に調べたい場合は、初めから内視鏡検査を受けるのがより確実です。
大腸ポリープとがん
大腸がんの約8割は良性のポリープを経てがんになると考えられています。
良性のポリープの段階で切除すれば、大腸がんを予防できることになります。
1㎝までのポリープは当院で日帰りで内視鏡切除することが可能です。
内視鏡検査を行うことが大腸がんの早期発見だけでなく、大腸がんの予防にもつながります。
大腸がんの治療
大腸がんは早期で発見できれば、内視鏡や手術で切除し5年後の生存率はほぼ100%です。
しかし他の臓器に転移があると5年生存率17%と顕著に悪化します。
抗がん剤治療は進歩していますが、転移があると治癒はなかなか見込めないのが現状です。
直腸にできたがんは手術ができても人工肛門が必要になることがあり、内視鏡治療ができる早期の段階でみつけるのが理想です。
便潜血検査や内視鏡検査は手間のかかる検査ではありますが、大腸がんにかかった場合の損失を大きく減らすことができます。40歳を超えた方は自治体の大腸がん検診で便潜血検査を受けることができます。血のつながった家族に大腸がんの方がいる場合は、40歳以下でも内視鏡検査を受けることが推奨されています。ぜひ便潜血検査もしくは内視鏡検査を受けましょう。