執筆者:総合内科専門医 荒井 隆志
11月も中旬になって急に寒くなってきました。今回これから問題となる冷え性について解説したいと思います。
目次
冷え性とは
冷え性はよくある症状で、女性に多くみられます。日本で行われた研究では、半数近くの女性に冷え性の自覚があったと報告されています(男性で冷え性に悩んでいるのは約1割と推定されています)。
冷え性の原因
原因としては血管が収縮して血流が悪くなることや代謝の低下などが挙げられていますが、現代医学でもあまりよく分かっていません。
運動不足で筋肉が減ると熱の産生が低下し、冷え性になりやすいと考えられています。
冷え症のセルフケア
対策としてまずは運動習慣が挙げられます。身体を動かすことで血流が改善し、また筋肉量が増えることで冷えに強くなります。
入浴も対処法としてよく取り上げられていますが、一時的に身体が温まる以上の効果があるかどうかは研究データがなさそうです。
生活習慣やストレスに注意して自律神経をととのえることも大切です。
冷え症の薬
西洋医学の薬はありませんが、漢方医学では冷え性も重視されており、複数の薬が処方できます。
四肢末端(手足)が冷えやすい人には「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」を処方します。とても長い名前ですが、9種類の生薬が配合されています。
「温経湯」は身体の中心が冷えてお腹の痛みが出る人に効果的です。女性向けの漢方薬で、月経困難症や更年期障害にも効果があるとされています。
顔を含めた上半身はのぼせたりするのに、下半身が冷える人には「桂枝茯苓丸」を使います。この薬も月経不順や更年期障害にも使われています。
冷え性について簡単に解説しました。まずは運動を習慣づけることをお勧めしますが、冷え性で困っている方は漢方を試してみるのも選択肢です。