気管支喘息

 喘息は小児に多い病気ですが、最近は大人が発症するケースが増加しています。

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  喘息とは

 気管支喘息は気道の慢性炎症により、喘鳴(ぜぇぜぇ)や息切れ、咳を起こす病気です。
 日本国内の喘息の患者数は400~500万人と推定されており、増加傾向と考えられています。
 最近は40~50歳代の中高年で、喘息を発症する人が増えています。
 治療の進歩で喘息で亡くなる方は大幅に減りましたが、現在でも日本で年間千人以上が喘息で死亡されており、まだまだ要注意の病気です。

  喘息の原因

 小児の喘息はアレルギーが原因となるアトピー型がほとんどですが、成人の喘息は原因がはっきりしない非アトピー型が多くみられます。
 風邪などの上気道炎がきっかけで喘息が起こるケースが多いです。
 またストレスや睡眠不足、疲労も喘息のリスクとなるため、生活習慣に注意が必要です。タバコの煙や大気汚染、ほこり、冷気も発作のきっかけとして要注意です。
 最近成人の喘息が増えている要因として肥満の影響が考えられており、適切な体重管理も重要です。

  喘息の症状

喘息の主な症状は以下の3つで、夜から明け方にかけて悪化する傾向があります。

  • 発作性の喘鳴(ぜぇぜぇ)
  • 息切れ

この3つが揃うとは限らず、咳だけが出る「咳ぜんそく」というタイプもあります。

  喘息の検査と診断

 喘息の診断には、まずは症状の経過を詳しく問診することが重要です。
 さらに肺がんなど他の病気がないか、胸部レントゲン検査で確認します。呼吸機能検査で、肺活量や息を吐くスピードを測定して気管の狭窄を評価します。
 当院では胸部レントゲン検査に加えて呼吸機能検査も行うことができます。
 血液検査でIgEという抗体を検査してアレルギーの原因を調べることも行われます。

  喘息の治療

 喘息の治療は吸入ステロイドを使って気管の炎症を抑えることが最も大切です。吸入ステロイドが普及して喘息死は劇的に減少しました。
 症状がない時にも気管には炎症が続いており、吸入を継続して発作を予防します。
 吸入ステロイドはほとんど体内には吸収されないため、全身の強い副作用は心配ありません(口の中に副作用が出ることがあるため、吸入後にうがいをして洗い流す必要があります)。
 症状に応じて気管支拡張剤の吸入や内服薬を追加します。
 難治性の喘息に対しては生物学的製剤という高価な点滴薬を使うこともあります。
 ダニアレルギーが影響している場合には舌下免疫療法が効果を期待できます(ダニのエキスが入った錠剤を舌の下に置いてアレルギー反応を緩和させます)。

長引く咳や発作性の息切れがある場合は喘息の可能性が疑われます。症状が気になる方はお気軽にご相談ください。

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