逆流性食道炎はとても多い病気で、胸やけやつかえ感で生活の質が下がる原因となります。
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎は胃酸が食道に逆流することで、胸やけなどの症状が起こる病気です。
正式には胃食道逆流症と呼ばれており、内視鏡で異常がみられない非びらん性胃食道逆流症という状態もあります。
肥満や高齢者の増加とともに増えており、内視鏡を受けた方の10~15%にみられるという報告があります。
基本的に生命にかかわる病気ではありませんが、炎症が続くことによって食道がんの原因となることがあります。
逆流性食道炎の症状
- 胸やけ
- 呑酸(どんさん、酸っぱい感覚がのどの辺りまで上がってくる)
- つかえ感、胸痛
- げっぷ、胃もたれ、咳、声のかすれ
逆流性食道炎の代表的な症状には胸やけ、吞酸(どんさん)、つかえ感、胸痛があります。
胸やけ、吞酸は最もよくみられる症状で、呑酸はすっぱい感覚がのどの辺りまで上がってくる症状です。
その他にもげっぷや胃もたれ、咳、声のかすれが逆流性食道炎でみられることがあります。
逆流性食道炎が悪化すると潰瘍ができて出血したり、食道の狭窄やがんを生じることもあります。
逆流性食道炎の原因
- 肥満
- 猫背
- ストレス
- 脂っこい食事、食べ過ぎ、アルコール、炭酸飲料、カフェイン、タバコ
肥満があると脂肪で胃が圧迫され、逆流性食道炎を起こしやすくなります。
また猫背でも逆流が起こりやすくなり、特に脊椎の圧迫骨折で背中が曲がると逆流性食道炎が増加します。
ストレスがあると食道の粘膜が過敏になり、逆流性食道炎の症状が起こりやすくなります。
また脂っこい食事や食べ過ぎ、アルコール、炭酸飲料、カフェイン、タバコも逆流を増やします。
逆流性食道炎の診断
まずは問診で症状の経過を詳しく確認します。
内視鏡検査は必須ではありませんが、がんや潰瘍といった他の病気がないかどうかを確認することは重要です。
症状から逆流性食道炎を疑ったら胃酸を抑える薬を試してみて、改善したら逆流性食道炎と判断することも多いです(診断的治療と呼ばれています)。
しかし、がんや潰瘍でも薬で一時的によくなることは多いので、一度は内視鏡検査をしておいた方が安心です。
逆流性食道炎の治療
胸やけなどの症状で困っている場合は、まずは胃酸を抑える薬で治療を始めます。
これまで「プロトンポンプ阻害薬」を使うことが多かったのですが、最近は「P-CAB」(ボノプラザン)という薬が使われることが増えています。
P-CAB(ボノプラザン)はとても効果が高く、さらに効果が出る時間も早いというすぐれた薬剤です。
胃酸を抑える薬だけでは症状が改善しない場合には、胃の動きを促す薬を追加します。
薬を止めると再発することが多いので、再発しないように生活習慣の改善に取り組むことも重要です。
肥満の解消や姿勢の改善、ストレス対策が大切です。さらに脂っこい食事や食べ過ぎ、アルコール、炭酸飲料、カフェインを減らすようにします。
重度の逆流性食道炎の場合は、食道と胃のつなぎ目を締める手術を検討することもあります。
逆流性食道炎は基本的に良性の病気ですが、生活の質に影響し、まれに食道がんの原因になることもあります。逆流性食道炎が気になる方はお気軽にご相談ください。