人生百年時代を生き抜くうえで、血圧の管理はとても重要です。 最近血圧の管理はより厳密に行ったほうがよいことが明らかになっており、自宅での血圧は125/75以下が望ましいとされています。
高血圧とは
高血圧は「血管の中の圧力が高く」なっている状態です。血管の圧が高くなると血管の壁に負担が蓄積し、動脈硬化や出血といった問題を起こします。
現在日本では約4300万人もの高血圧患者がいると推定されています。 しかし、治療を受けている患者は半分ぐらいで、コントロールが良好なのは3割弱しかいないというのが現状です。
高血圧が引き起こす問題
高血圧そのものは基本的に症状はありませんが、さまざまな病気のリスクを増大させます。 心不全や心筋梗塞、狭心症といった心臓病に加えて、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)も高血圧により引き起こされます。
しかし、それだけでなく認知症や腎不全、動脈瘤といった病気の原因にもなります。
こうした病気にかかると、いのちが助かったとしても生活の質が下がり、医療経済的にも大きな負担となります。
高血圧をしっかり治療していくことで、さまざまな病気を予防して健康寿命を大きく延ばすことができます。
高血圧の原因
- 加齢
- 体質
- 塩分過剰
- 肥満
- 運動不足
- アルコール
高血圧の一部はホルモンや腎臓の異常によって起こることがありますが、ほとんどが加齢や体質、生活習慣の影響で生じる本態性(ほんたいせい)高血圧です。
若いときに高血圧はほとんどみられませんが、40代以降に顕著に増加します。 遺伝的な体質の影響も強く、両親が高血圧の人は高血圧になる可能性がとても高いです。
生活習慣は塩分過剰だけでなく、肥満や運動不足、アルコール、カリウム摂取の不足も影響します。加齢や体質は変えることができないので、生活習慣を修正することが重要です。
高血圧の診断
高血圧の診断基準は以下の通りです。
家庭血圧 | 診察室血圧 |
135/85以上 | 140/90以上 |
診察室での血圧が140/90以上もしくは、家庭血圧の平均が135/85以上になると病気のリスクがぐっと上昇します。 しかし高血圧の基準に当てはまらなくても、家庭血圧125/75以下にコントロールするのが理想です。
最近では家庭血圧がより重視されるようになっており、自宅での血圧測定はとても大切です。
手首式の血圧計はコンパクトですが正確さに欠けるため、上腕式の血圧計が学会でも勧められています。
高血圧の治療
生活習慣
まず大切なのが生活習慣の改善です。
塩分は6g/日未満が推奨されています。カップめんを1つ食べるだけで4~6gの塩分を摂取してしまうため、加工食品やめん類は要注意です。
それに加えてカリウムの積極的な摂取も重要です。カリウムは体内の余分な塩分を排出する働きがあるため、果物や緑黄色野菜などでカリウムを摂ることが勧められます(腎臓が悪い方はカリウムが過剰になる危険性があるため要注意です)。
肥満や運動不足も高血圧を悪化させるため、食事に注意しながら適度に運動して適性体重を保ちましょう。
アルコールも量が増えると血圧が上がりやすくなるため、ビールの場合は350~500ml/日以下にすることが勧められます。
薬物治療
血圧が顕著に高い場合や生活習慣に注意しても改善が不十分な場合には血圧を下げる降圧剤を開始します。
降圧剤は最近選択肢が増えています。どの薬を選ぶかは病状によっても異なりますが、カルシウム拮抗剤という種類の薬を最初に使うことが多いです。
一剤で効果が不十分な場合は、二剤目や三剤目を組み合わせる必要があります。
生活習慣を改善して薬を中止できるようになることもありますが、加齢に伴って高血圧は悪化しやすく、薬の継続が必要な場合がほとんどです。 安易に自己中断せず通院を継続することが重要です。
健康を保つうえで血圧の管理はとても重要です。高血圧の治療を行うことで、重大な病気を予防して健康を保つことにつながります。血圧が高めの方はお気軽にご相談ください。