甲状腺機能低下症(橋本病)

 甲状腺は喉(のど)の気管の前にある臓器で、甲状腺ホルモンを作っています。甲状腺の病気は女性に多く、バセドウ病と橋本病がそのほとんどを占めます。

目次

  橋本病とは

 橋本病は自分の免疫細胞によって甲状腺に慢性的な炎症を起こす病気で、進行すると甲状腺機能の低下を引き起こします。
 甲状腺機能が低下する原因として最も多い病気です(手術や放射線治療によっても甲状腺機能が低下することがあります)。
 女性にとても多い病気で、成人女性の約10%が橋本病と推定されています(治療が必要な方は一部だけです)。

  橋本病の症状

 甲状腺の炎症によって喉元(のどもと)にある甲状腺が腫れます(健診の診察で指摘されることも多いです)。
 炎症が進行し甲状腺ホルモンが不足するようになると、以下ようなさまざまな症状がみられます。

疲労感、冷え性、体重増加、低体温、便秘、むくみ、甲状腺の腫れ、集中力の低下、徐脈、食欲不振、皮膚乾燥、脱毛

 また妊娠中に甲状腺ホルモンが不足すると、赤ちゃんの知能に影響する危険性があるため要注意です。

  橋本病の検査

 血液検査で甲状腺に対する自己抗体(抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体)の有無を調べることが重要です。
 甲状腺のエコー検査も診断の参考になります(甲状腺の腫れや内部の不均一、表面の凸凹がみられます)。
 甲状腺ホルモンを測定しホルモンが不足しているかどうかも確認します。

  橋本病の治療

 橋本病があっても甲状腺機能の低下がなければ治療の必要はありません。
 軽度の甲状腺機能低下の場合は、海藻などのヨード摂取を控えて経過観察します。
 妊娠希望の女性またはTSH>10mIU/Lであれば甲状腺ホルモンの内服を開始します。
 機能低下に対する甲状腺ホルモンの内服は基本的に生涯続ける必要があります。

甲状腺機能が低下しても甲状腺ホルモンを補うだけでよく、適切に治療すれば橋本病は怖い病気ではありません。ただ妊娠中は軽度の機能低下でも赤ちゃんに影響する可能性があるので要注意です。橋本病が気になる方はお気軽にご相談ください。

目次