睡眠は心や身体の健康にとても重要です。睡眠不足は日中のパフォーマンス低下の原因となるだけでなく、さまざまな病気のリスクとなります。
不眠症とは
不眠症には、寝つきが悪い「入眠障害」、夜間に目が覚める「中途覚醒」、早朝に目が覚める「早朝覚醒」、ぐっすり眠れた満足感に乏しい「熟眠障害」があります。
厚生労働省の調査では、日本人の5人に1人が不眠に悩んでいるという結果でした。約2千万人の方が不眠を抱えているということになります。
さらに別の調査では、日本人の約5%が睡眠薬を利用しているという結果が報告されています。
不眠がもたらす問題
最近「睡眠負債」という言葉が使われるようになっていますが、睡眠不足が借金のように積み重なり、さまざまな病気のリスクを高めることが分かっています。
睡眠不足は、認知症やうつ病、肥満、糖尿病、高血圧、脳卒中、心臓病、がん、感染症といった多くの病気の発症リスクを増加させます。
日中のパフォーマンスが低下したり、交通事故の原因となるリスクもあります。
不眠症の原因
不眠症の原因として多いのが、ストレスや不適切な生活習慣です。
不規則な生活や夜間のスマホ、夕方以降のカフェイン、運動不足、寝酒、長い昼寝が不眠の原因として代表的です。
アルコールは入眠しやすくなることはありますが、睡眠の質が悪くなり中途覚醒や早朝覚醒の原因となります。
不眠の原因となる病気としては、睡眠時無呼吸症候群や気管支喘息、心不全、頻尿、むずむず脚症候群、うつ病、認知症があります。
また睡眠にこだわりすぎると、不安が高まって逆に眠れなくなる「精神生理性不眠」に陥ってしまうので要注意です。
不眠症の治療
生活習慣
不眠症の対策としてはまずは生活習慣の見直しが重要です(睡眠衛生といわれています)。
生活のリズムを整え、日中の運動量を増やしたり、寝る前のスマホを避けることにまず取り組みます。
朝日を浴びたり、就寝の1.5~3時間前に入浴することや、ストレス対策も有効です。
寝ることに執着すると不安が高まって逆に眠れなくなるため、こだわりすぎないことも大切です。
薬物治療
これまで最もよく使われてきたのがベンゾジアゼピン系睡眠薬です。
ふらつきや転倒の原因となったり依存性が欠点でしたが、最近はふらつきや依存性が少ない「メラトニン受容体拮抗薬」や「オレキシン受容体拮抗薬」といった新しい薬が使えるようになっています。
睡眠はとても重要ですが、こだわりすぎると逆に眠れなくなるので、適度に注意するのが良いと思います。一般的に睡眠時間は7~8時間が望ましいといわれますが、年齢や個人による差が大きいので、気にしすぎないようにすることも大切です。不眠が気になる方はお気軽にご相談ください。