胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは

　胃の中では食べ物を消化するために胃酸が作られています。
　胃酸はとても強い酸性のため、胃や十二指腸の粘膜を溶かしてしまう危険性があります。
　普段は粘液によって胃や十二指腸は保護されていますが、何らかの原因によって保護が弱くなり、粘膜が障害されてできるのが潰瘍です。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因

　胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因で多いのがピロリ菌です。ピロリ菌を除菌することで潰瘍の発症を大幅に減らすことができます。
　痛み止め（鎮痛剤）も潰瘍の原因として多いです。最近では脳梗塞や心筋梗塞を予防するための血をサラサラにする薬（抗血小板薬）による潰瘍が増えています。またステロイドも潰瘍の原因となります。
　胃がんが原因で胃潰瘍を起こすこともあり、注意が必要です。
　ストレスや暴飲暴食も潰瘍の原因となります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状

　みぞおちの痛みが最も多い症状です。しかし高齢者や痛み止めを服用している場合には痛みをほとんど感じないこともあり要注意です。
　胸やけや吐き気、食欲不振もよくみられる症状です。
　潰瘍から出血すると、吐血したり下血がみられます。血液が胃酸で変色して黒い便が出ます。
　出血量が多いと貧血を起こしたり、血圧が低下して危険な状態になることがあります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の検査

　潰瘍の診断に最も重要なのが、内視鏡検査（胃カメラ）です。
　潰瘍の詳細を観察し、出血の有無やピロリ感染についても情報を得ることができます。
　組織を採取して胃がんがないかどうかを調べることも可能です。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療

　最近は効果の高い薬が使えるようになり、ほとんどが手術せずに治療できるようになっています。
　胃酸の分泌を抑える薬を1～2か月間内服することで治癒が見込めます。
　出血がみられる場合は、胃カメラで止血処置を行います。胃や十二指腸の壁に穴があいている場合は外科手術を検討します。
　治療を中途半端に止めると潰瘍を繰り返して、胃や十二指腸が変形し手術が必要になることがあります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の予防　

　ピロリ菌が陽性の場合はピロリ菌を除菌することが最も重要です。3種類の薬を1週間服用することで、約9割の確率で除菌できます。除菌が不成功だった場合は、薬の組み合わせを変更して2回目の除菌を試みます。
　薬が原因となった場合は、可能であれば薬の中止を検討します。中止が難しければ、胃酸を抑える薬を併用しながら続けます。
　ストレスの軽減や暴飲暴食を避けることも大切です。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は悪化すると出血を起こしたり、穴があいて手術が必要になることがあります。症状が気になる方はお気軽にご相談ください。